劇的なスクリーニング 株の進化
しかしほどなく、レクサスの新車点検をしていたディーラーから、ブレーキをかけても制限速度をコントロールする設定が解除できないという不具合がみつかったという連絡があった。
同様な不具合はほかでもみつかった。
12月、原因究明のかたわらリコールが届けられ、対策部品が本社から米国T社に送られた。
東郷社長は「禍を転じて福となす立派な仕事をしてほしい」と、完成したばかりの画面付きの衛星放送を通じて全ディーラーに呼びかけた。
総支配人となったイリングワースは、それまでにレクサスを買った8千人以上の顧客一人ひとりに手書きのサインをしたためて手紙を書いた。
また、顧客からの問い合わせにだれもが応えられるように、サービス担当者に限らず、レクサス事業部の役員から新入社員まで150人とディーラーのすべてに、今回の不具合と米国T社クサス部門のマネージャーがディーラーから聞き取った提案やベストプラクティスは、プログラム化され、他のディーラーにも活用された。
販売の対応について説明が行われた。
こうした真撃な対応が功を奏して、リコールから一カ月の間に、部品交換は90%以上実施され、修理を受けた顧客からは感謝の手紙も寄せられた。
リコール騒ぎはあったものの、レクサスのブランドイメージは短期間のうちに確立した。
LS400の品質は高く評価され、90年のJ・D・パワー社の調査では、初期品質(IQS)において第1位を獲得した。
3万5千ドルで販売されたLS400の2年後の下取り価格が3万6千ドルを記録するという現象さえ起きた。
順調な拡大レクサスの二モデルのうち、LS400の成功とは対照的にES250は苦戦したが、二モデルの売上げは89年で1万6千3百2台、90年には6万3千5百34台と順調に伸びた。
この間、ホンダのアキュラの販売台数は5万4千8百台、日産のインフィニティは2万5百台、メルセデスは7万8千4百台、BMWは6万3千7百台だった。
当初黒字化するまで3年から5年はかかると予想されたディーラーの収益は予想より早く黒字化し、なかには2年目で黒字転換するディーラーも現れた。
黒字化してすぐに一店舗で年間利益3百万ドルを実現したディーラーも登場。
TMSは、レクサス事業立ち上げに一億ドルを投資したが、予想より早く、3年から5年で回収に成功した。
TMSは、91年6月にSC400(日本名ソアラ)を、続いて同年9月にはSC300を導入し、レクサスは4種類となった。
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